犬の栄養補給や健康維持のために製造されるドッグフードには、
ドライフードやウェットフードなどさまざまなタイプがあります。
市販手販売されているドライフードは、製造過程で油脂が吹きかけられていますが、
油脂で覆われていないタイプもあるのをご存じですか。
今回は、ノンオイルコーティングのドッグフードの特徴や、おすすめの理由をご紹介します。
ご家庭のドッグフードがオイルコーティング品か、
見分ける方法も解説するので、ドッグフード選びの参考にしてください。
オイルコーティングとノンオイルコーティングの特徴
固形タイプのドライフードには、オイルでコーティングされたものとされていないものがあります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
オイルコーティングとは
ドッグフードを製造する過程の終盤で、油脂を吹きつけ、表面をオイルで覆うことです。
一般的なドッグフードの製造方法として採用されています。
オイルコーティングをする主な理由は、以下の2点です。
・犬の食欲を促すため
・脂質を摂取させるため
ドッグフードに吹きつける油脂は匂いが強く、嗅覚がするどい犬の食欲を刺激します。
さらに、腹持ちをよくする効果も期待できます。
犬の主食であるドッグフードには、バランスよく適切な量の栄養素を含めることが必要です。コーティングする油脂によって脂質の量を調整して、犬に必要な栄養素を摂取させることができます。脂質はエネルギーを供給し、皮膚の健康を維持するなどの役割があります。
ノンオイルコーティングとは
製造過程で油脂を吹きつけるという工程がなく、オイルでコーティングしない製造方法です。
原材料を活かしたドッグフードには、油脂で覆われていないものが多く、昨今はノンオイルコーティングが注目されています。
犬の食欲促進や脂質の摂取の役割があるオイルコーティングですが、酸化防止剤が含まれるなどの懸念点もあります。
愛犬の健康面に配慮するなら、ノンオイルコーティングのドッグフードを選んでみるのもひとつの方法です。
ノンオイルコーティングがおすすめの理由
おすすめする理由や、得られるメリットについて、3つの項目に分けて見ていきましょう。
身体への負担が少ないため
油脂が空気中の酸素と結合することを酸化といいますが、酸化が進むと油は劣化します。
その結果、ドッグフードの風味が損なわれたり、酸化した油脂を摂取することで、下痢など体調不良になったりすることがあります。
油脂の酸化を防ぐために、オイルコーティングのドッグフードには酸化防止剤が含まれています。
酸化防止剤などの添加物は体内に蓄積され、身体に負担をかけるおそれがあるため、
なるべく避けたいと考える方も多いのではないでしょうか。
ノンオイルコーティングのドッグフードなら、そもそも油脂で覆われていないため酸化しにくく、
酸化防止剤などの添加物の摂取量を抑えることも可能です。
犬の食事を安全なものにしたいと考えるなら、油脂で覆われていないタイプがおすすめです。
油抜きが必要ないため
オイルコーティングされたドッグフードから、酸化防止剤が含まれた油を除去する方法として、油抜きがあります。
油抜きすることでカロリーオフもできるため、肥満対策として行うケースもあるようです。
油抜きをする場合、まず1食分のドッグフードを大きめのお皿に入れて、ドッグフードが浸かるくらいまで熱湯を注ぎます。
1分ほど熱湯に浸したらザルにあげ、よく水を切って方肌程度まで冷まし、フードボールに移して食べさせます。
安価なドッグフードには、質の悪い油が使われていることもあるため、
犬の健康に配慮して油抜きをしたい、と考えることもあるでしょう。
しかし油抜きをするには、手間や時間がかかります。
ノンオイルコーティングであれば、油抜きの手間を減らせます。
素材本来の味を楽しめるため
五感のひとつである味覚は、舌にある味蕾細胞(みらいさいぼう)で感じるものです。
犬の舌にも味蕾細胞(みらいさいぼう)があり、犬にも味覚があるため味を感じています。
味覚には、甘味・酸味・塩味・苦味・うま味の5つがあります。
人間よりは劣るものの、犬も5つの味を感じ分けているといわれています。
なかでも、甘味に対してもっとも強く反応することが分かっています。
製造過程で油脂を吹きつけると、犬の食欲を刺激するような、強い匂いを感じられるようになりますが、ノンオイルコーティングであれば、原材料のシンプルな味や匂いを感じられます。素材本来の味を楽しめるのは、ノンオイルコーティングの魅力のひとつといえるでしょう。
ノンオイルコーティングかどうかの見分け方
油脂で覆われているかどうかを見分ける際は、以下にご紹介する4つの方法を参考にしてみてください。
原材料を確認する
ペットフード安全法によって、ドッグフードなどのペットフードには原材料名の表示が義務付けられています。
これは、何か問題が起きたときに原因を明らかにし、ペットの健康被害を防止するためのものであり、
そのほかにもペットフードの名称や賞味期限、原産国、事業者名と住所も表示する決まりとなっています。
原材料のなかに「植物性油脂」「動物性油脂」「〇〇オイル」などの表記がある場合、オイルコーティングされていると考えられます。
何のオイルか明示していれば原材料が分かりますが、植物性や動物性などの曖昧な表記をしている場合は、
何を由来とする油脂を使用しているのかが分からないため、より一層注意する必要があるでしょう。
水に浮かべてみる
水と油はそれぞれ異なる性質を持っており、水の分子と油の分子がそれぞれ引き合って集まります。
そのため、水と油は混ざりにくいという特徴があります。
この特徴を利用して、油脂で覆われているかどうかを確かめてみましょう。
コップや深めの容器に水とドッグフードを入れます。
ひと晩浸しておいてもドッグフードが沈まずに浮いたままであれば、オイルコーティングされているといえます。
水と油は混ざりにくいため、オイルコーティングされたドッグフードは水を吸収しにくいのです。
内側のべたつき具合を確認する
油脂を吹きつけたドッグフードは、触るとべたべたしています。そのため、袋の内側に油脂が付着して、袋までべたついてしまいます。
大袋のドッグフードは、お得に購入できるなどのメリットがありますが、
開封すると空気に触れて酸化が進むため、長い期間をかけて食べさせる際は注意が必要です。
ドッグフードに油が浸透するとさらにべたついてしまい、お皿までべたべたすることもあります。
開封した袋の内側にオイルがついているか、ドッグフードを入れるお皿までべたついていないか、よく確認してみましょう。
匂いを確認する
匂いを嗅ごうとしなくても、オイルコーティングされたドッグフードは、袋を開けただけで強い匂いを感じます。
犬の食欲を刺激するような匂いを発しますが、人間にとってはよい香りとはいえない場合も多いでしょう。
ノンオイルコーティングのドッグフードは、意図的につけられた強い匂いではなく、
素材本来のシンプルな匂いを感じとることができます。
まとめ
ドッグフードには、製造過程で動物性油脂などをコーティングしたものと、していないものがあります。
油脂で覆うことによって、匂いによる犬の食欲促進や、脂質の摂取などの効果を得られますが、油の酸化を防ぐために、酸化防止剤などの添加物が含まれるといった懸念点も持ち合わせています。
ノンオイルコーティングのドッグフードなら、素材本来が持つ味わいや香りを楽しめます。犬の健康維持や肥満対策のために、油抜きをする手間や時間もかかりません。
毎日の食事は、犬の健康管理に関わる大切なものです。犬の健康維持を考えるなら、ノンオイルコーティングのドッグフードを選んでみてはいかがでしょうか。